微熱 ア・イ・ス・ル・ヒ・ト・ヘ

to my beloved 6

幼い2人には別れも突然やって来る。

ただ幼かったのはカズキだけだったのかも知れない。


サキの家の玄関を開けると、いつもの陽当たりの良い部屋には

体育座りで並んだサキとマサミの姿があった。

呆然と立ち尽くすカズキ。

 

立ち上がってカズキの脚にしがみつくサキの手からコンクリー

トの玄関にこぼれ落ちるシンナーの袋。

 

サキのカラダを振り解こうともがくカズキ。

 

「違うんだよ。カズキがいないとダメなんだよ。違うんだよ。

   ホントに違うんだよ」

 

玄関を開けてサキを引き摺りながら廊下の手摺につかまりカヅ

キはもがき続ける。

 

やがてカズキの脚から引き離されるサキ。

息を切らせながらカズキは階段へと駆ける。

よろけながらサキはカズキを追う。

あたりにはシンナーの強いにおいが漂っている。

 

「違うんだよ。違うんだってば。カズキ、カズキ、カズキ」

 

階段を走り下りそのまま線路沿いを駆けるカズキの瞳からは涙

が止めどなくこぼれ続ける。

 

アイスルヒトヘ

アイヲケサナイデ

ホホエムトキハマタイツカヤッテクルカラ

コレデオワリダトハオモワナイデ

 

アイスルヒトヘ

ソノママハシリダサナイデ

フリムクコトヲワスレナケレバ

ウシナウモノハナニモナイカラ

 

アイスルヒトヘ

イタミヲアタエナイデ

イヤサレルココロニ

オナジイタミヲアタエナイデ

 

アイスルヒトヘ

ホホエミヲヤメナイデ

ガラスニキズガツイテモ

ケシテヒトリニハナラナイデ

 

カズキが乗った飛行機のエンジン音はだんだんと高まりを続け

スクリーンには救命具を着けるアテンダントの姿が映し出され

る。

 

強い振動とともに加速する飛行機の窓には、やがて滑走路に整

然と並ぶ無数のライトが瞬き始める。

 

「I love you, more than you. I love you, more than

 you、、、」

 

窓に映し出されたカズキの瞳から一筋の涙がこぼれ落ち、一瞬

サキの無邪気な笑顔がカズキの顔と重なり、

 

そして消えた。

A TOUCH OF LOVE OTHER SIDE OF PUNK

気まぐれな自分、素顔の自分、飾らない自分、個人としての自分、社会の中の自分、音楽の中の自分、美術の中の自分、満ち溢れた自分、曖昧な自分、空っぽの自分、、、色々な日々の自分と出逢えたらステキですね

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